神経内分泌細胞に由来する腫瘍は、神経内分泌腫瘍(NET:Neuroendocrine tumor)と神経内分泌癌
(NEC:Neuroendocrine carcinoma)に大きく分類されます(表)。NETとNECは、腫瘍細胞がどれだけ増殖をしているのかという事を正確に判定するために、核分裂の過程にある細胞数がどのくらいあるのかという事を検討する“核分裂像数”と、増殖している細胞すべてで発現している核抗原を免疫組織化学的に同定して増殖している細胞数の割合を求める“Ki-67指数”を用いて確定診断されます。NETは、さらにG1(Grade1)とG2(Grade2)の2つに分類されます。NETは、低~中悪性度の高分化型の腫瘍である一方、NECは悪性度の高い低分化型の腫瘍です。この分類は病理組織学的分類(WHO分類)といわれ、腫瘍の性質とその予後を見きわめ、のちの治療方針を決めるために、患者さんにとりましても重要な過程となります。
また、患者さんの腫瘍がどの程度進んでいるかをあらわすには病期(ステージ)というものが使われます。腫瘍ができた臓器によって、それぞれの基準で、IからIV期の4段階に大きく分類されます。ステージを決めるときにはTNM分類と呼ばれる、腫瘍の大きさ(T因子)、周辺のリンパ節への転移の有無(N因子)、別の臓器への転移の有無(M因子)の3つの要素を組み合わせた分類が用いられます。IV期に近いほどがんが広がっている状態(進行がん)です。NETでも他の癌腫同様このTNM分類が設定されており、予後予測を行う上で必要なものと考えられております。詳しくは担当の医師にお問い合わせください。
| 2010年 WHO分類 | 核分裂像数 | Ki-67指数 | 特徴 | |
|---|---|---|---|---|
| 神経内分泌腫瘍(NET) | NET G1 | <2 | ≦2% |
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| NET G2 | 2~20 | 3~20% | ||
| 神経内分泌癌(NEC) (大細胞癌あるいは小細胞癌) |
>20 | >20% |
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WHO Classification of Tumours of the Digestive System Eds: Bosman FT, et al. 4th Edition, 2010
IARC Press, Lyons France
NET病理組診断に用いられる因子
組織学的分化度(腫瘍細胞の性質)
一般的に、高分化の腫瘍(発生組織の正常細胞に似ているもの)は比較的性質がよく、臨床的にはおとなしく、逆に低分化の腫瘍(正常細胞の機能をほとんど持たず、未熟なもの)は悪性度が高く、その治療が難しいといわれています。
腫瘍の増殖能力
“核分裂像数”と“Ki-67指数”は、細胞分裂の程度を示すマーカーです。これらの数値が高いと、一般的には腫瘍細胞の増殖が速く、患者さんの予後は何もしなければ極めて不良です。
腫瘍の大きさ(T因子)
腫瘍が大きい場合には、悪性を疑うほうがよいといわれていますが例外は多く見られております。
リンパ節転移(N因子)
周辺のリンパ節への転移がある場合は、悪性と判定しますが、病理学的に転移があるという事を確認する事が望まれます。
転移(M因子)
他の臓器に転移がある場合や浸潤している場合は悪性と判定しますが、上述の転移と同じように病理組織学的にこれらの事を確認する事が望まれます。
NETとNECの病理組織像の違い
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膵NET:
比較的均一な円形の核を有する
腫瘍細胞が規則正しく配列、増殖している。
笹野先生よりご提供 -
膵NEC:
異型核が見られ比較的豊富な細胞質を有する腫瘍細胞が活発に増殖している。WHO Classification of Tumours of the Digestive System
Eds: Bosman FT, et al. 4th Edition, 2010
IARC Press, Lyons France
ご監修:東北大学大学院医学系研究科医科学専攻病理病態学講座病理診断学分野 教授 笹野公伸 先生


